みつけた草木

どこかに行って見つけたものの備忘録です

2024/04/08 カタクリ咲くむすび山

午前中で仕事が終わったので、午後はむすび山にカタクリを見に行ってきた。

登山道を上がり、むすび山まで数分ほどで到着。

カタクリは思ったより咲いておらず、今年ははずれ年のようである。

それでも時期としては一番良さそうで、よく咲いている。

 

カタクリ Erythronium japonicum

いくつかではあるが、咲いており、まあまあ良かった。しかし、葉はあるものの、花は少なく群生地という感じではなく消化不良。

ヤマコウバシがあったのを思い出し、花を見たことがないことから尾根をもう少し歩いてみることにした。

 

肝心のヤマコウバシはまだ芽吹いてすらいなかったが、チョウジザクラとウリカエデが咲いていた。

チョウジザクラ Cerasus apetala

 

ウリカエデ Acer crataegifolium

 

ヤマコウバシはもう2週間は待ちそうな雰囲気だった。また来ようと思う。

2024/04/07 ハナネコノメ咲く沢

以前、毛がやたら多いハナネコノメ?を甲斐市の沢で見たことがあったので、シロバナネコノメソウかハナネコノメか確認に行ってきた。

シロバナネコノメソウ(Chrysosplenium album var. stamineum)はハナネコノメ(var.stamineum)やキバナハナネコノメ(var. flavum)の基準変種であるが、ハナネコノメとの区別が難しい。萼の尖り具合や毛の有無が特徴の一つだ。

しかしながら、花期であればより簡単な方法があるらしい。

ハナネコノメ - 野山に自然に咲く花のページ

花粉の色によるシロバナネコノメソウとハナネコノメ(ユキノシタ科)の判別とその地理分布

上記によれば、花粉の色が白色か黄色かで判別が可能らしい。白ならシロバナネコノメソウ、黄ならハナネコノメとのこと。

 

実際に見てきたのが、下の写真である。毛が多いように見えるし、萼裂片も鋭く見える……。

ただ、裂開している約から見える花粉は黄色である。さきの識別からすれば、ハナネコノメなのだろう。

写真のハナネコノメは約がオレンジだったが、周囲には赤色のものもあった。約の色自体は元々の色彩に加えて経時変化もあるのでなんとも言えないが、この辺りのものは黄色〜オレンジのものが多く感じる。また、非常に毛が多く葉から茎まで毛がびっしりに見えた。やはり、毛では判別が困難ということだろうか。

ちょっと残念だったが、疑念が晴れたのでひとまずスッキリしたところだ。

 

もう少し周囲を散策したが、まだ、春早いのもあり、スミレや他の花はほとんど見つけられなかった。そんな中、咲いていたのが、ヤマエンゴサクだった。

ヤマエンゴサク Corydalis lineariloba

ジロボウエンゴサク等の仲間もいるが、苞葉の形態が切れ込んでおり、分布からもヤマエンゴサクと思われる。

ミチノクエンゴサク(Corydalis capillipes)との識別ができているかは怪しいが、サイズ感からもヤマエンゴサクではないかと思う……。エンゴサクも自信がないので色々見ていきたいものの一つだ。

 

下手の横好きなので疑義が減るより増えるほうが早い。

そのうち解消されるでしょうということでこれらも一旦棚上げしておくとしよう。

【参考にした図鑑等】

・大橋広好ら,2001,改訂新版 日本の野生植物Ⅰ ソテツ科~コミカンソウ科,平凡社,東京都

ハナネコノメ - 野山に自然に咲く花のページ

花粉の色によるシロバナネコノメソウとハナネコノメ(ユキノシタ科)の判別とその地理分布

2024/04/06 春の花が咲いていた二十六夜山

スミレの季節にはまだ少し早いけれども、様子見がてら二十六夜山に行ってみた。

ふもとの月待ちの湯近くに車を止めて、登山口へ。午前中、家の整理をしていたら、到着はお昼過ぎになってしまった。

 

登山口から、落ち葉の中にヒキガエルがいた。

カエルは種類をよくわからないことと、調べてもヒキガエル以上の同定ができる気がしないので、これはこれで良しとしておく。背中にイボがあり、毒々しい見た目をしていた。

道中、何匹かのヒキガエルとその卵があり、カエルの住みかと化していた。

 

閑話休題、湿った環境の岩場にネコノメソウ属が咲いていた。

タチネコノメソウ Chrysosplenium tosaense
葉は互生で、花つきはまばら、ランナーもなさそうなので、タチネコノメソウではなかろうか。おしべが8つあり、きれいに咲いている。

 

そのまま歩いて行って、山頂まで行ったが、標柱の写真を撮り損ねてしまった。

 

下山も同じ道であったが、沢地形のところにイワボタンが咲いていた。数も少なく、個体も小さかったので、行き道では気づかなかったのだろう。よく見れば点々と咲いてはいる。

イワボタン Chrysosplenium macrostemon
ヨゴレネコノメやニッコウネコノメなど変種がいくつかあり、見分けが難しい。

観察した個体は、葯が赤色で萼片は黄色であり、ニッコウネコノメ C. macrostemon var. shiobarenseかもしれない。

 

下山すると登山口の広場あたりにマメザクラが咲いていた。

マメザクラ  Cerasus incisa

マメというほど花は小さくなく、華やかな印象である。一方、樹高や葉は小さめであり、マメザクラの意味が分かりやすい。

 

葉は特徴的であるが、花も中々に特徴的だと思う。

萼筒は筒状で無毛だが、小花柄には毛がある。そこまで迷わない種だと思う。

この辺りでは、フジザクラと呼んで花見の資源として重宝されており、ときおり山で見るサクラだ。

 

下山後に温泉に入ろうとしたら、駐車場脇の生垣にスミレが咲いていた。

コスミレ Viola japonica 

なんかつかみどころのないスミレ。比較していってコスミレだな~って感じ。変異が大きく、植物体全体の毛の量なんかも変わってしまうようだ。また、側花弁の基部に毛がないことも特徴であるものの、側花弁の基部に毛があるヒゲコスミレというものもある。東日本には無毛のものが、西日本にはヒゲコスミレが多いらしい。

もう少し経験を積んで種の特徴をつかめるようにしたいところだ。

 

この日は月待ちの湯で汗を流して帰路についた。

 

【参考にした図鑑等】

いがりまさし,1996,山渓ハンディ図鑑6 日本のスミレ,山と渓谷社,東京都

2024/04/01他 山梨市散歩で見たスミレたち

先日に続いて散歩をしていたときに見つけたスミレを挙げようと思う。

 

ノジスミレ Viola yedoensis

スミレはややこしく見られがちだけど、交雑種を除けば、柱頭の形態と色、茎葉の雰囲気で絞ってから考えるとわかりやすい。

スミレとよく似ているけど、細部から雰囲気まで見ると結構違う。

側花弁の基部に毛がないこと、茎や葉など全体的に毛が多いこと、ややしおれているような雰囲気がある。花弁が波打つのも特徴の一つだと思う。

 

一方、スミレも石垣の下に咲いていた。

 

スミレ Viola mandshurica

こちらは側花弁に毛が生えており、はっきりとした面立ち。また、葉がやや立っており、翼があるのも特徴だろう。

この周辺の石垣にたくさんの個体が見られた。

 

石碑?の根元にはまたちょっと雰囲気の違うスミレが咲いていた。

 

ヒメスミレ Viola inconspicua subsp. nagasakiensis

全体的に毛が少なく、植物体に対して花が小さい。距もやや白く抜けているので、ヒメスミレだろう。

照りつけるコンクリの隙間から顔を出しているのが印象的だった。

 

他に見つけられたのはアメリカスミレサイシンくらいだった。

 

アメリカスミレサイシン Viola sororia

一見華やかだが、花弁の基部に毛が多く、表情が見ずらく照れ屋なスミレだと思う。

周辺では白と青色を見つけられた。

 

何回か歩いただけだったが、これだけのスミレを見ることができたのは大収穫だった。

里のスミレも勉強していきたいところだ。

 

【参考にした図鑑等】

いがりまさし,1996,山渓ハンディ図鑑6 日本のスミレ,山と渓谷社,東京都

2024/4/1 山梨市を散歩

仕事の休憩に散歩をしたときに観察したものをいくつか挙げてみる。

 

歩き出して、まず咲いていたのは白い小さな花。観察していた時はStellariaかな~と思っていた。

ノミノツヅリ Arenaria serpyllifolia

実際には、同じナデシコ科であるものの、ノミノツヅリであった。

Stellariaと違って、花弁の先が割れないことも特徴。

畑や荒れ地に多い植物であり、いったん気づくと道路脇に咲いている。

 

同じく荒れ地に生える植物であり、ノミノツヅリのすぐ横に咲いていた

タチイヌノフグリ Veronica arvensis

オオイヌノフグリの方が名前としてはメジャーだが、こちらもよく見る。

オオイヌノフグリと違って、花が小さく、茎が立つ。

 

キュウリグサTrigonotis peduncularis

こちらもいわゆる雑草的な植物であり、畑や公園に多い。揉むとキュウリのようなにおいがあるとされる。実際に嗅ぐと青臭い匂いがありキュウリと言われれば納得する。

ムラサキ科の花であり、小さな花をよく見れば他のムラサキ科と同様の形態をしていて、とてもかわいい見た目である。

 

タネツケバナ? Cardamine occulta

水路に目をやるとタネツケバナが咲いていた。中々に立派な個体であった。

長角果が茎から少し離れて付き、花より突出しないことからタネツケバナと思われる。

 

散歩みちの脇の駐車場にはトウダイグサが咲いていた。

トウダイグサ Euphorbia helioscopia

散歩の道中にあった会社の駐車場の脇にたくさん咲いていた。山にいるとナツトウダイやタカトウダイをちょくちょく見るが、普段里に降りないせいか基本のトウダイグサはあまり見た記憶がない。

 

30分も歩いていないがこのほかにもいろいろ咲いており、魅力的な散歩道だった。

季節柄、桃の花もたくさん咲いており、春真っ只中であった。

スミレもいくつか観察したので、後日続きを書くこととする。

 

2024/03/24 ハナネコノメの咲く山に行ってきた

 キバナハナネコノメを探したりしていたら半月が経っていたが、そもそも白いハナネコノメの方も多くの自生地を知っているわけではない。

そこで、白い方のハナネコノメ(シロバナネコノメソウ・ハナネコノメ区別せず)を観察しに南部の山へ登ってきた。

ミツマタ Edgeworthia chrysantha

登山口にはミツマタが咲いており、道路の脇を彩っていた。

ちょうどいい時期で、道に立つと別世界のようだった。

 

この日のちょっと前に100mmマクロを買ったが、なかなか調子がいい。

最新じゃないsmc PENTAX-D FA マクロ 100mm F2.8 WRの方だが、十分である。

ミツマタの花をしっかりとれているし、背景のボケたミツマタも含め良い。

 

登山道脇で鳥が鳴いており、そちらを見ると、お尻を揚げて振りながらさえずっている鳥がいた。ちょうど近くに来たので100mmでも十分に撮影できた。

こんな感じで振りながらさえずっている。下山後に調べてみれば、ミソサザイという鳥らしい。

 

しばらく歩いて岩場の影あたりに本命が咲いていた。

ハナネコノメ Chrysosplenium album var. stamineum

花弁も丸目で、毛も多くないのでハナネコノメと思われる。以前、別の山系で剛毛のハナネコノメ(シロバナネコノメソウと思われる)をみており、それと比べれば毛はほとんどない。

剛毛のハナネコノメ(たぶんシロバナネコノメソウ)

写真は2023/4/23に甲斐市で観察したもの

 

赤い葯と白い花弁とのコントラスト美しい。個体数はかなりあり、点々と見られた。

蕾の個体も多く、盛りはもう少し先だろう。

今回は白い方をしっかり観察出来た。黄色い方の捜索に俄然力が入る。

 

【参考にした図鑑等】

門田裕一ら,2013,山渓ハンディ図鑑2 山に咲く花 増補改訂新版,山と渓谷社,東京都

2024/03/01 高川山でツノハシバミが咲いていた

様子見がてら高川山に登ってきた

残雪もあり道はそこまでよくない

カタクリの群生地も花どころか雪が残っている。

もう一ヶ月くらいで咲くのかな。

カタクリ群生地から見えた雲取山も完全に雪山である。

雪が降らず気温が高くなると思っていたが、なんだかんだで雪が度々降ったので花見に行くにも一安心。

 

ツノハシバミ Corylus sieboldiana

ツノハシバミの花は初見である。左写真は雌花序、右写真は雄花序である。

左写真の芽の先に伸びている赤い線状の組織が柱頭だ。雌花序は芽鱗に包まれている。

一方、右写真の雄花序は芽鱗に包まれずに冬を越す。

拡大写真の赤い粒一つ一つが葯であり、春になると裂けて風により花粉を運ぶ。

 

他に咲いていたのはダンコウバイ Lindera obtusiloba

同じく開花時に展葉しないアブラチャンと似ているが、花柄が長いアブラチャンに対して、ダンコウバイは花柄が非常に短い。

もう少し時期が過ぎて展葉すれば一目瞭然だが、この時期はクロモジ属の花は葉と比べて見分けが難しい。違った一面を見せてくれて面白いものだ。

 

他に咲いていたものとすれば、下山後に見たヒメオドリコソウオオイヌノフグリだった。

もう少しで花見の季節が始まる。待ち遠しい。

 

【参考にした図鑑等】

石井英美ら,2000,山渓ハンディ図鑑3 樹に咲く花 離弁花①,山と渓谷社,東京都