午前中に花の観察に山へ行ったが、数日前の雪で埋まっていてまともに観察ができなかった。午後はどうするか思案しながら山を歩いていたらザゼンソウを見に行くことを思いついた。
車を走らせて夕方の4時ごろに現地についた。やや遅くなったが、まばらながらも見に来ている人がいた。
園内の柵の中に入るとしっかり咲いていた。
ザゼンソウ Symplocarpus renifolius
サトイモ科の植物で、濃紫色の仏炎苞が特徴的な植物だ。数日前の雪で、発熱植物としての様子も観察できるかと期待したが、こちらは雪は降っていない様子だった。
ザゼンソウは開花時に中心部が20度程度まで上昇し、雪を溶かしながら開花するらしい......うまく積雪があればその様子を見てみたい。
保護されているだけあって、柵内はポコポコと地面から咲いている。沢沿いには葉のみの個体も多く見られたが、何か違いがあるのだろうか。
既に葉が出ている花も多くあった。
いくつかは黄緑がかっていた。いわゆるアオザゼンソウというタイプだろうか。濃紫色から緑色の間にはグラデーションの個体が多くいるように思える。
書籍やネットでみるような完全な緑の個体は発見できなかった。
花はサトイモ科に多い肉穂花序である。この亀甲模様と棒状の構造が一セットの花であり、それらが集まり花序を形成している。一つ一つを見ると、パラボラアンテナの様に広がった4つの片がおしべで、おしべの真ん中の突出したものがめしべではないかと思われる。
また、ザゼンソウは雌性先熟のシステムをとっており、先にめしべが成熟し、その後におしべが成熟する。写真の個体は花粉が仏炎苞の中に落ちており、既におしべが成熟した後に見える。
発熱植物も雌性先熟もザゼンソウに限ったものではないが、見た目も相まって興味が魅かれる植物だと思う。
【参考にした図鑑等】
門田裕一ら,2013,山渓ハンディ図鑑2 山に咲く花 増補改訂新版,山と渓谷社,東京都