みつけた草木

どこかに行って見つけたものの備忘録です

竹森のザゼンソウが見ごろ 2024/02/24

 午前中に花の観察に山へ行ったが、数日前の雪で埋まっていてまともに観察ができなかった。午後はどうするか思案しながら山を歩いていたらザゼンソウを見に行くことを思いついた。

車を走らせて夕方の4時ごろに現地についた。やや遅くなったが、まばらながらも見に来ている人がいた。

園内の柵の中に入るとしっかり咲いていた。

ザゼンソウ Symplocarpus renifolius

 サトイモ科の植物で、濃紫色の仏炎苞が特徴的な植物だ。数日前の雪で、発熱植物としての様子も観察できるかと期待したが、こちらは雪は降っていない様子だった。

ザゼンソウは開花時に中心部が20度程度まで上昇し、雪を溶かしながら開花するらしい......うまく積雪があればその様子を見てみたい。

 

 保護されているだけあって、柵内はポコポコと地面から咲いている。沢沿いには葉のみの個体も多く見られたが、何か違いがあるのだろうか。

既に葉が出ている花も多くあった。

 

 いくつかは黄緑がかっていた。いわゆるアオザゼンソウというタイプだろうか。濃紫色から緑色の間にはグラデーションの個体が多くいるように思える。

書籍やネットでみるような完全な緑の個体は発見できなかった。

 

 花はサトイモ科に多い肉穂花序である。この亀甲模様と棒状の構造が一セットの花であり、それらが集まり花序を形成している。一つ一つを見ると、パラボラアンテナの様に広がった4つの片がおしべで、おしべの真ん中の突出したものがめしべではないかと思われる。

また、ザゼンソウは雌性先熟のシステムをとっており、先にめしべが成熟し、その後におしべが成熟する。写真の個体は花粉が仏炎苞の中に落ちており、既におしべが成熟した後に見える。

発熱植物も雌性先熟もザゼンソウに限ったものではないが、見た目も相まって興味が魅かれる植物だと思う。

 


【参考にした図鑑等】

門田裕一ら,2013,山渓ハンディ図鑑2 山に咲く花 増補改訂新版,山と渓谷社,東京都

 

武田の杜遊歩道でウラジロの観察 2024/02/22

先日、甲府方面に用事があったので、花の様子を確認がてら武田の杜付近の遊歩道へ行ってみた。結果としては、花見には早かったのだが、こんなところにウラジロがあった。

ウラジロ Diplopterygium glaucum

常緑性のやや大型のシダである。正月飾りでよくみられるように一対の羽片を出している。

また、基部の方に前年以前の枯れた葉が見られる。

 

時期が時期なのでソーラスはなかったが、葉裏は帯白色であり、ウラジロの名の通り

小羽片の先は丸く尖らず、羽軸はやや赤みを帯びていた。

 

ウラジロは多年性のシダ植物であり、毎年一対の羽片を出しながら伸長し、大きくなっていき、冒頭の写真の様に段々に羽片は残存することで、特徴的な見た目になる。

3~4月が羽片を出す芽吹きの時期と思われるが、これから大きくなるだろう羽片が観察出来た。

最上段の羽片の間に小さな葉を出している。これが大きくなるのだろう。

 

林床や林縁に生育するとされるように、今回もアラカシの林床に生育していた。この他に小型の1個体を観察できたが、暖温帯の林床で群生しているような感じではなかった。

南部の方ならありそうだが、甲府のこのあたりにも生育しているのは初めて知った。

 

【参考にした図鑑等】

桶川 大作, 2020, くらべてわかるシダ, 山と渓谷社, 東京都

キスミレ観察に杓子山へ 2022/05/06

 黄色いスミレを山で見たことがありませんでした。キスミレが杓子山にあると聞き、5/6(金)に杓子山へ登ってきました。 河口湖駅から内野バス停へ向かい、立ノ塚峠を経て、杓子山、不動湯へと下山しました。

キスミレ(Viola orientalis)  尾根の日当たりのよい斜面に点在して咲いていました。  山梨県RDBにはIAになってます

 

レンプクソウ(Adoxa moschatellina)
 登山口入ってすぐの道沿いに点在。箱・四角っぽい配置の花って感じ

 

ミヤマキケマン(Corydalis pallida var. tenuis)
 生息してる場所で同定してるので、キケマンともしっかり見比べてみたい。

 

ツボスミレ(Viola verecunda)

 

アケボノスミレ(Viola rossii)
 かなり離れたところではあったけれど、ナガバノスミレサイシもあったので、実際のところはよくわからない。  スミレは雑種が恐ろしいですね。

 

エイザンスミレ(Viola eizanensis)

 

ナガバノスミレサイシン(Viola bissetii)

 

 キスミレが見えてハッピーです。スミレの季節も大分過ぎて、このあたり今年は終わりに向かいそうな季節です。今年はシダを覚えたいので、夏緑性のシダなんかも覚えていきたいです。

多摩川でみたマメ

多摩川までスズメノエンドウカスマグサを探しに行ってきた

 

スズメノエンドウ(Vicia hirsuta)

カラスノエンドウより小型であるため,カラスに対してスズメをあてているらしい

色が薄めで,5 mm弱の花が4-5個ほど集まっていて,愛らしい見た目をしていた

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写真ではわかりにくいけれど,托葉は切れ込んだ見た目をしていた

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つるが分枝していて,周囲に絡みついていた

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カスマグサは探しても見つけられなかった

代わりにはならないけれど,ナヨクサフジヘアリーベッチ Vicia villosa ssp. varia)を見つけた

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旗弁(上部に位置し,めくれている花弁)の舷部(めくれているところの長さ)より,爪部(筒になっているところ)が2倍弱長いところから,クサフジと識別できるらしい

クサフジを見たことがないけれど,クサフジは同じくらいらしい

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葉はカラスノエンドウスズメノエンドウとほとんど同じ雰囲気
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今度行ったときは,カスマグサクサフジも念入りに探したいところ

 

【参考にした図鑑等】

林 弥栄ら,2013,山渓ハンディ図鑑1 野に咲く花 増補改訂新版,山と渓谷社,東京都







 

カラスノエンドウとアリと

マメ科ソラマメ属 カラスノエンドウ (Vicia sativa ssp. nigra)

府中市で観察

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小葉の先がヤハズ (矢筈) に似ていることから,ヤハズエンドウと呼ばれる

しかし,私は弓矢に触れたことがないので,植物名から矢筈を知った

ドウダンツツジのドウダン (灯台) でも同じパターンだった

 

他に,葉の先端の巻きひげが3分枝するのも大事みたい

 

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昆虫との交流も盛んなようで,図鑑に書いてあった蜜腺にアリが集まる様子を実際に観察出来た

 

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明らかに,カラスノエンドウに害なすお客さんもいたけれども

 

他2種のスズメノエンドウカスマグサとの違いを続けて観察していないので,これらを見るたびに図鑑を開いてしまう

この際,多摩川にでも探しに行こうと思う

 

【参考にした図鑑等】

林 弥栄ら,2013,山渓ハンディ図鑑1 野に咲く花 増補改訂新版,山と渓谷社,東京都

岩槻英明,2014,最新版 街でよく見かける 雑草や野草がよーくわかる本,秀和システム,東京都